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薬学部と他学部の違い
薬学部と他学部の違い
「薬学部生は大変」とよく言われます。
「薬学部だけが特別ではなく、理系学部はどこも大変なんじゃないの?」と感じる人もいるでしょう。
今回は薬学部が他の学部と比べてどのくらい大変なのかを見比べていきましょう。
学習内容の広範さと量が膨大
薬学部は基礎科学から高度な専門知識まで幅広い分野を学びます。
1年生のうちから化学や生物学、物理学といった基礎科目や分子生物学や生化学なども学び、
3年生以降になるとさらに薬理学、臨床薬学、製剤学など薬の専門知識が多岐にわたります。
医療系や理系の他の学部も専門的な学習が必要ですが、薬学部は学ぶ範囲が広いため、記憶しなければならない情報量が非常に多いのが特徴です。
例えば、理系の工学部などは物理や数学、情報系に特化し、専攻により学習分野が絞られます。
しかし、薬学部は国家試験を見据えて多くの分野を網羅的に学びます。
そのため、日々の学習量が膨大で、試験も難易度が高くなりがちです。
実習や実験の量と負担が大きい
薬学部では、実習や実験が必須で、座学だけでなく実践的な学びが多いのが特徴です。
例えば、病院や薬局での実務実習が5年生以降に課され、これは数か月にわたってフルタイムで行われるため、実習中はほぼ勉強に専念することになります。
さらにレポートの作成や事前準備、実習後の振り返りなど、時間がかかるうえに集中力も必要です。
同じ医療系である看護学部や医学部でも実習はありますが、薬学部では薬剤師としての専門知識を現場でどのように活用するかが重視されるため、病院や薬局での実習での要求事項が異なります。
特に薬剤の処方、調剤、患者さんへの指導の方法など、他学部とは異なる多くの知識と技術が求められます。
国家試験の難易度と準備負担が大きい
これを最も大変と感じる学生も多いでしょう。
薬学部生が目指す「薬剤師国家試験」は、卒業後に薬剤師として働くために必要不可欠な資格です。
合格率は他の国家資格に比べると比較的高いものの、試験の範囲が非常に広く、学生には膨大な学習量と綿密な学習計画が求められます。
試験前は、過去問題を中心に重要事項を反復し、知識を体系的に整理しなければならないため、かなりの勉強時間が必要です。
医学部の「医師国家試験」や、看護学部の「看護師国家試験」ももちろん厳しいものですが、薬学部は特に薬理学や製剤学、病態生理学など専門的な知識が多岐にわたるため、国家試験に向けた準備の負担が大きくなります。
さらに、医学部と同様にカリキュラムが6年間と長期にわたるため、学業と国家試験の勉強を並行してこなす必要があります。
長期の6年制カリキュラムと学費負担
薬学部は、医療系学部でも一部の学部のみが6年制カリキュラムを採用しており、学費も他の学部に比べて高くなりがちです。
6年制は1年間の学費負担がその分増えるため、経済的なプレッシャーもあります。
さらに、卒業までの期間が長い分、アルバイトをして学費を稼ぎながら勉強を続ける学生も多いですが、学業が忙しいため、アルバイトと勉強の両立も難しい状況です。
たとえば、理系の農学部や工学部などは4年で卒業し、その後就職するか、さらに専門的な知識が必要であれば大学院に進学するケースが多いですが、薬学部は学士課程のみで6年を要し、必然的に学生生活が長くなります。
膨大な暗記量と応用力の両方が求められる
薬学部の勉強は単に知識を暗記するだけでなく、状況に応じた判断力や応用力も必要です。
たとえば、ある薬がどのように効果を発揮するかを理解するためには、人体の構造や化学的な反応、薬剤の体内での動態など、多角的な視点で学ぶ必要があります。
この点で、薬学部は他の理系学部とは異なり、暗記だけでなく深い理解と応用力が必要な学部です。
工学部や理学部では、物理的な計算や設計、実験など、分析や思考力に重きを置いた学習が求められますが、薬学部ではそれに加えて、薬物の作用や副作用についての体系的な理解が重要になります。
薬剤の知識だけでなく、人体の構造や病気の仕組みについても幅広い理解が必要なため、負担が大きいと言えます。
実験や実習による体力的な負担
薬学部では、長時間の実験や実習に参加することも多く、体力的な負担も少なくありません。
実験は安全性が重視されるため、気を張り続けることが多く、精神的な負担もかかります。
薬局や病院での実務実習でも、患者さんと向き合うための集中力が必要であり、薬学部生は体力面でも大きな負担を抱えやすいです。
これは同じく実験が多い理学部や工学部と似ていますが、薬学部の実習では患者さんと直接関わるための対人スキルも求められ、長時間の集中力を必要とする場面も多いのが特徴です。
効果的な勉強方法について
ここまで「他学部と比べて薬学部は大変」ということを説明してきました。
それぞれの科目で覚えることが多く、さらに範囲も広い薬学部はどんな勉強方法が効果的なのでしょうか。
最後に試してみてほしい勉強方法をご紹介します。
実践例も紹介しますので、ぜひためしてみてください。
全体像を掴む勉強法
薬学部では、範囲が広く膨大な知識を理解しなければならないため、まずは学習する内容の「全体像」をつかむことが重要です。
特に教科書やノートの目次を見て、どんな知識がどのように繋がっているかを大まかに把握してから勉強を始めると、細かい情報も記憶に残りやすくなります。
各章の概要をまとめてから詳細に進む「スキャニング学習」を取り入れてみてください。
実践例
講義ノートや教科書を開き、最初に見出しをざっと確認して内容を俯瞰し、「どのトピックが重要か」「どんな関係性があるか」をイメージします。
次に、それぞれのトピックごとに、具体的な学習に取り組んでいくと、知識が整理しやすくなります。
過去問や模擬試験を活用してアウトプットを増やす
国家試験の範囲は非常に広いため、過去問を使って実践的にアウトプットの練習をするのが効果的です。
過去問を解くことで、どの分野が重点的に出題されるか、理解が不十分な分野はどこかを把握できます。
試験に慣れることも重要なため、できるだけ早い段階から過去問に触れておくと良いでしょう。
実践例
毎週、特定の科目について数年分の過去問を解き、間違えた問題を徹底的に復習します。
また、問題を解く中で、時間のかけ方や試験のコツを掴んでいくことで、本番に向けた実践力がつきます。
定期的に復習して長期的な記憶に定着させる
薬学部の勉強は学習範囲が広く、日々の復習が欠かせません。
一度学んだことを忘れないよう、定期的に復習することで、知識が長期記憶として定着します。
特に試験対策では、試験直前に焦らないよう、計画的に復習を重ねることが大切です。
実践例
1週間に一度、その週に行った授業の内容を振り返り、授業の概要と重要な部分を再確認します。
1か月に一度は、さらに大きな範囲で復習し、実践的に問題を解きながら再度理解を深めます。
復習を定期的に繰り返すことで、知識が定着し、試験時にも自信を持って解答できるようになります。
まとめ
薬学部生が大変と感じる理由には、学習内容の広さと量、実習や国家試験の負担、6年制カリキュラムによる学費負担や長期的な勉強へのプレッシャーなど、他学部にはない独自の要素がたくさんあります。
こうした理由から、薬学部は「覚える量が多いだけでなく、それを実践で応用できるようにする」という点で負担が大きい学部だと言えるでしょう。
他学部と比べても、薬学部はより広範な学習と実習を長期にわたり行うため、大変さが際立っています。