薬学部の留年率

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薬学部の留年について

文部科学省が公表しているデータによると、薬学部の6年間での卒業率は約67%に留まっています。
つまり、33%の学生が留年、休学、または退学していることになります。
この数字は、薬学部が他の学部と比較して進級や卒業が困難であることを物語っています。

薬学部は医療系学部の中でも特に専門性が高く、膨大な知識と高度な技術を要求されます。
6年制という長期にわたる学習期間に加え、難解な科目が多いことも特徴です。

そのため、他の学部に比べて留年率が高いことはよく知られていますが、具体的にどのような理由で多くの学生が進級や卒業に苦労しているのでしょうか。
本記事では、薬学部特有の学習環境や留年率の高さに影響する要因を掘り下げ、その背景を考察します。

薬学部の科目や難易度

薬学部で学ぶ内容は非常に幅広く、また専門性が高いため、学業の難易度が突出しています。
化学、生物学、物理学といった基礎科学に加え、薬理学、薬剤学、薬物治療学、臨床薬学など専門科目が次々と登場します。
これらの科目を短期間で習得する必要があるため、学生たちにとって負担は非常に大きいものです。



薬学部の留年率が高い理由

薬学部の留年率が高い理由は、まず学習内容の多さとその難易度にあります。
他の学部と比べて履修する科目数が多く、各科目ごとの試験も非常に厳しいです。

特に必修科目で不合格になると、留年に直結するケースが多いです。
このような厳しい進級基準が、留年率を押し上げる大きな要因となっています。

また、薬剤師という職業は患者の命に直結する仕事です。
そのため、大学側も専門知識や技能が不十分な学生を次の段階へ進級させることはできません。
このことも薬学部の留年率の高さに繋がっているのです。

6年制ならではの大変さ

薬学部は2006年に4年制から6年制に移行しました。
この移行の目的は薬剤師が医療の現場でより高度な役割を果たすために、より実践的な教育を行う必要があるとされたからです。

6年制の導入により臨床実習や国家試験に向けた準備が徹底されました。
しかし、このことが結果的に薬学部生の負担を増やすこととなり、留年率の高さに拍車をかけています。

また、6年制カリキュラムでは5年次に行われる臨床実習も大きな進級の壁となっています。

病院や薬局での実務経験を通じて学んだ知識を実践に移す段階ですが、この実習で成績が振るわない場合、進級は難しくなります。
臨床現場での実務能力が問われるため、理論だけでなく現場対応力も要求されます。
これに適応できない薬学部生は、留年になってしまうことが少なくありません。

さらに、実習を乗り越えた後も、薬学部の最終的な試練である国家試験という大きな難関があります。

国家試験は非常に難易度が高く、6年間の学習を通して積み上げた知識と技能が問われます。
この試験に十分な準備ができていない学生は、卒業後に国家試験で不合格となり、結果的に留年や再受験を強いられることがあります。

薬学部の留年の現状

薬学部の留年率は大学によって異なりますが、他の学部と比べて高い傾向があります。
大学によっては学年ごとの留年率が10%から20%に達するケースもあります。

また、6年制移行後の進級基準が厳しくなったことも追い風になって、さらに留年する学生が増えているのが現状です。

試験の難しさと1年生がぶつかる壁

薬学部の試験制度は非常に厳格です。
特に必修科目で不合格になると進級が許されないことが多く、結果的に留年となります。
薬学部では学年ごとに多数の科目を履修する必要があるため、試験対策が不十分だとあっさりと単位を落としてしまいます。

「事前に開示されている単位取得基準に達しているかどうかだけで判断される」ところが高校生までとの大きな違いです。

このように薬学部の期末試験の難易度の高さが留年率に大きく影響していることを心にとめ、万全の準備をして試験に臨む必要があります。

また、薬学部で特に留年率が高いのは1年次および2年次です。
この時期には「有機化学」「無機化学」「物理学」「生物学」「数学」といった理系の基礎科目を学びます。

これらの科目は薬学の基礎として不可欠な知識であり、これをしっかり理解できないと、その後の専門的な科目の学習についていくのが困難です。
この基礎科目が多い時期でつまずく学生が多く、初年次での留年が目立ちます。

特に指定校推薦の学生の留年率が高い

指定校推薦で薬学部に入学した生徒は入学までの負担が軽減されている分、入学後に学業の厳しさに直面することが多いです。
これは入試本番の試験内容が面接や小論文が重視されるため、入学時点での基礎学力に差が生じるためです。

特に1年次や2年次の基礎科目である「有機化学」「物理化学」「生化学」といった科目は、化学や物理の理解が求められますが、受験で化学や物理を勉強していない学生はそこまで大きな負担にはなります。

このように推薦で入学した生徒は大学での試験の難易度や学習量に驚き、授業についていくのが難しいと感じることが多いでしょう。

特に基礎科目は、進級に必要な単位取得の鍵を握っているため、早い段階で補習や家庭教師、さらには塾の活用を検討することも大切です。
計画的な学習とサポートを受けることで、スムーズに進級できる可能性が高まります。

薬学部の留年を回避には

薬学部生が留年を防ぐためには、学生自身の学習努力に加え、大学側のサポートも必要なケースがあります。
薬学部では専門的で難易度の高い学業が要求されるため、期末試験に向けた計画的な学習が鍵となります。
学生自身での勉強のほかに、学校側のサポートとしてどんなものがあるかを見ていきましょう。

薬学部の多くの大学では学生が学業を順調に進められるよう、サポート体制を整えている学校もあります。
上級生や教授が学生の進捗をフォローするチュータリング制度を導入している大学もあり、個別指導によって学業の遅れを早めに取り戻すことが可能です。

また、進級が危ぶまれる学生に対して、特別な補習クラスや個別指導を行う大学も増えています。
こうしたサポート体制により、学生が苦手分野を克服しやすくなり、学生の進級割合が向上しています。

あくまで学生自身の勉強も大切!

大学側のサポートも大切ですが、学生自身が計画的に学習を進めることも重要です。
早い段階で自分に合った勉強方法を見つけ、苦手科目に対しては早めに対策を講じることが大切です。
友達とのグループでの勉強会や過去問の活用など、効率的に知識を習得する工夫が求められます。
試験対策をしっかりと行い、進級や国家試験合格に向けて万全の準備を整えることが、留年を回避するための鍵です。

薬剤師として働くためには、薬学部を卒業し、薬剤師国家試験に合格することが絶対条件です。
そのため、6年間の厳しい学業を乗り越えるためには、モチベーションを維持することが非常に重要です。
薬剤師は、医療現場で重要な役割を果たし、社会的にも必要とされる職業です。
薬剤師になることの意義を理解し、目標に向かって努力を続けることが、学生にとっての大きな支えとなります。

まとめ


薬学部は他の学部に比べて学業の難易度が高く、6年制のカリキュラムによって留年率も高くなりがちです。
しかし、適切なサポートと計画的な学習を行えば、留年を回避することは十分に可能です。
大学側の支援を活用し、学生自身も工夫しながら学習に取り組むことで、進級や国家試験合格のハードルを乗り越えることができるでしょう。

また、外部のサポートとして、塾や予備校を活用するのも一つの有効な手段です。
薬学部生向けの専門的な指導を受けることで、理解を深め、効率よく試験対策を行うことができます。
自分の弱点を補強し、確実に進級・合格を目指すために、塾を検討するのも一つの選択肢です。

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